SAD MASK
作詞:DADA 作曲:KALM

〜痛いよ 痛いよ でもこれは貴女が選んでくれた顔だから 死んでも剥がさない・・・〜

Street of Aliceトラック2 お気に入り度:★★★★★

2ndアルバム、Street of Aliceの2曲目。
ビデオアルバムではこのSAD MASKが、
アルバムのタイトルになっているので、
VELVET EDENのメインをはる作品の一つといえます。

「僕には顔がない、誰かに盗まれた」と語る主人公の物語。
歌が始まってすぐ、顔が無い事はとりあえず置いておいて、
窓辺で外を眺めていて良く見かける、
「彼女」への片思いの話題になります。

短い歌の中でかなり大胆に、
ストーリーの方向性が変わるのが面白いです。

ところがこの「彼女」はただの人間ではないのです。
顔がない彼は、外出を禁じられているようで、
更に誰も彼の部屋には入れないようですが、
「彼女」は鍵も開けず音もたてず部屋に入ってきてしまいます。
しかもなぜか、彼のことを知っています。

「いつも私を見ていたでしょう?」

憧れの「彼女」が側に来て、
喜悦に浸っている彼に、「彼女」は仮面を差し出します。
顔を失った彼は、新しい顔を手に入れたのです。
しかし・・・、それは死に匹敵する苦痛の始まりでした。

「坊や・・顔が無いのは貴方だけじゃないのよ。」

というのがストーリーのあらまし。中々面白いですね。
せいぜい4、5分の曲の中で、
中々複雑なストーリーを作り出しています。
DADAの魅力は、その異常ともいえる感性もそうなんですけど、
こういった、物語性のある歌詞を作り出すところにもあると言えます。

特にこのSAD MASKはストーリーの作りが非常に面白いです。
基本的に一人称は主役であるから、
ストーリー展開のイニシアチブを掌握しているものです。
「顔が無い」なんていう、特殊な要素を持っている
登場人物であれば、特にそういう傾向があると思うんですけど、
実は途中から登場してきた「彼女」が、全てを掌握していた、
というどんでん返しが最後に待っているのです。

これだけ怪しい世界を表現していながら、
余りエロくないのもいいですね。
大体、ダークな感じのとか妖しい感じの歌は、
安易にエロい方向に走って、そういう雰囲気を出しがちですけど、
エロティックさを感じさせずに、かつ暴力的な表現も使わずに
そういう世界観を作り出すってのは中々できるものではないと思います。

DADAの初期作品はエロや暴力的な表現抜きで、
暗い妖しい世界を作り出す作品があって、
そういうのが好きです。
終盤になっていくと、「捨て猫」とかもうどうしようもない
レベルの低い作品ができてしまって、ガッカリですけど。。

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